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会話シーンは画像どれ使ったかわからなくなりがち。
数話かけて話を進めると尚更です。

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「第四紀171年降霜の月30日。
 アルドメリ自治領が帝国に宣戦布告し大戦が始まった。
 弱体化していた帝国軍はサルモール軍の先制攻撃により大打撃を受け、
 各地で帝国軍は敗走し、帝国は大混乱に陥っていた。

 173年頃、ついにサルモールの将軍ナーリフィンヌ卿率いる軍団が、
 皇帝のいる帝都に迫った。
 近いうちに包囲が完了し、総攻撃が開始されることは誰もがわかっていた。
 主だった幹部や上流貴族がさっさと逃げ出し始め、
 皇帝でさえも帝都脱出の機会を探すほど追い詰められていた。
 まさに帝国は危急存亡の秋を迎えていた。」
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ウーンファース「だがそんな危機が差し迫った中でも、
 帝都の魔法機関では権力争いが続いていた。
 サイノッドとウィスパーズ大学の、かつてのメイジギルドの後継機関は
 利権や派閥争いに明け暮れていたが、帝都の権力者の不在を狙って
 むしろ勢力を拡大しようとする有様であった。
 奴らのバカ騒ぎは総攻撃が開始される直前まで続いたのだ。」
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ビー「どこかで聞いたような話だな・・・。」

ベティ「まんま、ジュリエットの時の話と同じような状況ですね。」
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ウーンファース「魔術師たちもそんな上層部を見捨てて帝都脱出を始めていた。
 当然だ、総攻撃が始まれば命の保証はない。
 だが敢えて残ろうとする者も多くいた。
 帝都の防衛や、なによりも魔法機関を守ろうと考える者がいた。
 ・・・当時、ウインターホールド大学からサイノッドに出向していた私も、
 その一人だった。」
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ウーンファース「出向中、私は放置されていた部屋の一角で、
 このフォクストロットの書を見つけた。
 最初は古代ファルメル・・・スノーエルフの研究書に思えた。
 彼らの秘術に関する書は極めて少ない。
 だがスカイリムの片田舎の地下に棲むモンスターの事など、
 帝都の連中には興味のない題材だったのだろう。
 ここに残れば灰になるのは間違いない。
 そのくらいの認識だったのだ、初めはな・・・。」
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ウーンファース「メイジギルドから引き継いだ魔法の遺産は、
 いわばタムリエルの魔法の歴史でもある。
 多数の蔵書や秘蔵品などもまた、戦火や略奪は免れ得ない。
 苦労して得た重要な研究結果をサルモールに奪われるのを許せぬ者もいる。

 ・・・だが上層部はそのような訴えには耳を貸さない。
 具体的に彼らが守るのは己の身と権威だけだった。
 そこで我々はそれらを安全な場所へ移そうとした。」
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ウーンファース「だがどこへ?
 帝都にはもはやそのような安全な隠し場所などなかった。
 そこで外部へ運び出そうという意見が出た。
 帝国領である他都市や、人里離れた洞窟や遺跡、
 果てはウインターホールド大学・・・これは私の意見だが・・・
 とにかく戦火を逃れる場所へ秘蔵品を避難させようとしたのだ。」
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ウーンファース「当然意見は別れた。
 帝都のすぐ外でも戦闘は続いていたし、どこに敵軍がいるかもわからん。
 主要都市が敵に占領されているとの情報も錯綜していた。
 分散された元ギルド支部もどうなっているかわからぬし、
 洞窟や遺跡に隠すのもリスクが大きすぎる。

 しかし移動させるにせよ、留まるにせよ、危険は避けられない。
 誰にも未来などわかりはしなかった。
 ひとつだけ確かな事は、タイムリミットはどんどん迫っていることだけだ。」
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ウーンファース「最終的に我々は同意する者たちとともに計画を強行した。
 橋が封鎖される前に、数台の馬車に可能な限りの積荷を詰め込み帝都を後にした。
 サルモールの総攻撃が開始されたのはその3日後のことだった。」
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ウーンファース「その先の道のりはそれ以上に過酷であった。
 安全な道などなく、無法者は野放しにされており、
 価値のわからぬ者にとっても宝の山を抱えての行軍だった。

 多くの困難があり・・・

 当初の予定であったウインターホールド大学への道を諦め、
 馬車は3方向に分けることを決めた。少しでも可能性を残すために。
 1つはハンマーフェルのデシアヌス将軍のもとへ・・・
 1つはスカイリムから南下中のジョナ将軍の陣営へ・・・。」
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ウーンファース「そして最後の1つを率いた私は、なんとかここへ運び込んだのだ。
 帝都を出た際には100名ほどはいた隊も、
 ウィンドヘルムにたどり着けたのは私と他に2人だけだった。」
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ビー「・・・過酷な旅だったのだな・・・。」

ベティ「想像を絶する状況だったのでしょうね・・・。」
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ベティ「サルモールによる帝都略奪・・・
 それは凄まじいものだったと聞きます。
 帝国最悪の日、オブリビオンの侵略以上であったとも・・・
 残っていれば命はもちろん、魔法の秘蔵品も焼かれたり紛失していたでしょう。

 城や国が滅ぼされる時、この手の伝説が生まれるものです。
 消えた遺産、盗まれた美術品、埋蔵金、落人や隠れ里・・・皇帝の子孫・・・
 それはこうした歴史の滅却から逃れていてほしいと願う、
 人類の業を少しでも軽減したいと思う気持ちから生まれるものもあるのです・・・。」
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ビー「残りの部隊や、7つの書の他のはどうなったんだ?」

ウーンファース「2つの部隊の事も、残りの書の事もわかっていない・・・。」
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ウーンファース「無論、捜索には手を尽くした。
 ジョナ将軍もデシアヌス将軍も戦後、そのような情報には関わっていないとした。
 帝都の生き残った魔術師や立て直された機関は捜索したし、
 私らも失われた秘蔵品の回収は今なお続けているが、
 率直に言えばほとんどわかっていない。
 無事かどうか、山賊に奪われ散逸したか、或いはどこかの崖の下へ消えたか・・・

 おそらく帝都にあった魔法秘蔵品の半数は失われただろう・・・。
 最終的に立て直されたサイノッドや大学がどの程度の喪失を免れていたか、
 詳しい情報は発表されていない。誰にとっても都合が悪いからな。
 サルモールとて自ら奪ったものを公表せんからな。」
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ウーンファース「私はとえいば、大戦後の混乱や疲弊に摩耗し、
 その後すぐマルカルス事件が起き、帝国とウィンドヘルムの関係も悪化し・・・
 帝国への関与を控えざるを得なかった。

 そして王の死などもあり・・・ゴタゴタが続いている間に、
 ウィンターホールド大学へ秘蔵するという計画もいつの間にか消え去ってしまった。
 一部の重要なアーティファクト・・・例えば死霊術師のアミュレットのような
 厳重魔法保管が必要なものだけを大学へ収めるにとどまった。」
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ベティ「あのアミュレットも、帝都から持ち出したものだったのですね・・・。」

ビー「それこそ霊視で探せばいいんじゃないのか?」

ウーンファース「試していないと思うのか?
 しかし帝都から運び出されたもの全ての行き先を特定するなど困難だ。
 犬とて獲物の匂いを覚えて探すだろう?霊視も似たようなものだ。
 1つや2つではない。手のつけようがないのだ。」
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ビー「じゃあ、そのフォクストロットの書の残りもその時に?」

ウーンファース「うむ・・・
 私が運んできた他の積荷と同じく、この1冊だけは喪失を免れた。」
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ウーンファース「その後しばらくして・・・
 この書について調べていた時の事だ。
 気がついたのだ。
 フォクストロットは書になにか秘密を隠している。
 それを残りの書に分散して残したようだとな。」
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ウーンファース「捜索は専ら私とともにここへたどり着いた他の2人、
 エクスレイとヤンキーに頼み各地を回らせていた。
 その二人もまた私と同じころ、ある噂を耳にしていた。
 『7つの書を集めた者は究極の魔法を手に入れる』という
 フォネティックコードの伝説をな・・・。」
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ビー「フォネティック卿というのは実在する人物なのか?」

ウーンファース「知らぬ。そんな者の名など聞いたこともない。
 帝都から遺産が持ち出されたという話も知らぬ。
 セプティム朝の秘宝など、間違いなくこの書には関係ない。」
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ウーンファース「むしろこれは明らかに、我々の事だと思った。
 3人とも同じ意見であった。

 帝都から運び出された魔法の遺産の事を知っている者、
 フォクストロットの書の他の書を持っている者、
 そしてそこに隠された暗号があることを見つけた誰かが、
 残りの書を探すための伝説をでっちあげたのではないかとな。
 その伝説を求めて探す者が増えれば、7つの書を集めることができる。

 もしくは別の隊の誰かが、他の隊へ暗号のメッセージを送っているかだ。
 いずれにせよ、噂の出処を探らねばならん。
 エクスレイとヤンキーは元を辿った。
 ・・・以後、彼らからの連絡はない・・・。」
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ビー「・・・つまり、死んだか殺されたか。」

ベティ「まさに歴史怪奇ミステリーですね・・・。
 やはりこの伝説は、真実を知る者をおびき寄せるための罠・・・?」
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ウーンファース「私も用心し、この図書館の事は今まで以上に秘密にした。
 しかしその後、伝説を探して来る者も来ない・・・。
 長い時間の中で私も忘れかけていた。
 貴様が来るまではな。」
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ベティ「たしかにあの伝説は一時期、冒険者が集まる酒場で話題が持ち切りでした。
 しかし噂が一気に駆け巡った後は、わりとスーッと冷めていった気がします。
 ここ数年は噂話を聞くこともほとんどありませんでした。」
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ウーンファース「次はこちらが質問する。
 貴様は一体どうやって目覚めたのだ?何故別の魂が乗り移っている?
 アニスのバカどもは何をしようとしているのだ?」

ビー「それはいわゆるかくかくしかじかで・・・」
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ウーンファース「そうか・・・。
 ではやはり、動き出したということだろう・・・眠っていた伝説が。
 一度は消えかけたフォネティックコードの伝説を追う誰か、
 いや、それを流した本人かもしれんが・・・
 貴様が目覚め、こうして私の前に現れたのも運命かもしれん。」
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ベティ「・・・それはつまり、フォネティックコードを探す者・・・
 フォクストロットの書の謎を解こうとする者は、
 いずれ必ずジュリエット・・・ビーさんにたどり着くことになりますね?」
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ビー「その謎を追う誰かが、オレを蘇らせたかもしれんという事か・・・。」
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ウーンファース「それはわからぬ・・・私もすべてを知りはせん。
 だがこの書は貴様にやろう。持っていくがよい。」

ビー「いいのか?命を賭けて持ち出したものだろう?」
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ウーンファース「もはや私には必要ないものだ。
 いや・・・元々必要だったのかもわからぬ。
 我々がこの書を持ち出さなければ、今の貴様がいなかったかもしれん。
 結果的に積荷の大半は行方不明になり、財宝のために死んだ者も多かろう。
 あの時の決断が正しい選択だったのか、
 そもそも正解などあったのか、わかりはしない。」
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ウーンファース「貴様の言うとおり、私の過去には失敗ばかりだ。
 しかし過去を変えることはできぬ。そこにあるのは結果だけ。
 そのようなものに目を向けても何も視えはせぬのだ・・・。
 ああすれば良かったこうすれば違っていた、視えるのは後悔や迷いばかり。

 死という過去にしがみつきそれを変えようとし、
 未来の死を恐れる者の魔術、それが死霊術だ。
 ゆえに私はそれを否定する。

 だからビー、貴様の過去を視ることはできんのだ。」
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ウーンファース「しかしそれに全て目を閉ざしているのではない。
 少なくとも私はあの時、少しでも未来へ可能性を残そうとした。
 ゆえにそれから起こった事すべて受け止めてきた。」
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ウーンファース「心も読めよう。運命も視えよう。
 しかし心も運命も動かすことができるのは本人だけだ。
 失敗や罪を恐れる者は簡単に聞こえのいい思想や理想に取り込まれるが、
 それでは人の心を動かすことはできぬのだ。

 正道を進もうが邪道を進もうが人のそしりは避けられん。
 どのような道を歩もうとも結果に正解などない。
 それでもこれから起こる運命をすべて受け入れ、
 なお前へ進む、未来を背負う責任と覚悟がある者・・・
 私が手を貸すのはそうした意思がある者だけだ。

 私の霊視が視せるのは未来のビジョンだけ。
 何かを変えることができるのは未来だけだからだ。」
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ウーンファース「ビーよ、フォネティックコードを追え。

 この書を探す者が必ずジュリエットの前に現れる。
 それはこれから確実に起こる未来だ。
 ビー、貴様とジュリエットの運命は今や一体。二人の運命は交錯している。
 その運命に向き合い、受け入れる覚悟があるのなら、
 フォクストロットの書残りの6冊を探す先に、
 きっと貴様の求める真実があるはずだ。

 私が言葉で与えることができるのはそれだけだ。」
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ビー「オレ達の・・・運命の書か。」


つづく
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映画「敦煌」を見た記憶がずっと残っていて、
具体的なストーリーはよく覚えていなかったのだけど、
莫高窟へ書物を必死になって運び込むシーンは強く記憶に残っていました。

大人になってからいろいろ事情を知ったりした後に見返したんですが、
莫高窟の書物は具体的にはあまり歴史的価値はほとんどないそうな。
未だになんでそんな事情になったのかは解明されていない。

そこに様々な解釈を加えて物語化するのが歴史ロマンやミステリーの醍醐味ですが、
果たして一体何の意味があったのか?正解はあったのか?
そいうものは誰にもわからないところにおおいにロマンを感じます。

映画ではそうした歴史の中に埋もれていく時代において、
人々が翻弄されながらも必死に一生懸命生きたというのを描いており、
ドラマチックの度合いはともかくおそらく過去も今も
人々はただ一生懸命生きているというだけが共通項かもしれないなと。
意味があるとすればそれだけのことかもしれない。

バブル時代に作られた初の日中合作映画ということで、
よくわかんないけど凄いパワーがある映画なので機会があれば見てください。